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シニアビジネスは男がつくる | ||
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第1章「数字」からシニアビジネスのツボを読む
シニアビジネスの間口は広い~「六〇歳からの起業」でも遅くはない
シニアマーケットを調べてみますと、さまざまなビジネスがあります。百花繚乱とでも言いましょうか。それこそ、日本の産業分類が全部、ここに入ります。全業種シニアのマーケットを考えなければ、明日がないといっても過言ではない。食べるもの、住むところから始まり、オムツのはてまで「いい加減にシニア」という冗談があるぐらい、なんでもシニアビジネスに入ります。 逆にシニアとかぶらない業種の方が少ない。ちょっと新聞記事を見ただけでも、カラスの鳴かない日があっても、シニアの記事が出ない日はありませんから。 たとえば「フィットネスクラブも三分の一がもう五〇歳以上の会員が占める」(日経二〇〇六年七月三日夕刊)ようですし、「Jリーグの鹿島アントラーズが選手とともに介護予防事業に参入する」(日経二〇〇六年七月二六日)、「ローソンがシニア向けコンビニをスタート」(日刊ゲンダイ二〇〇六年七月四日)という記事もあります。 要するに「老人のお金を当てにする社会」になってしまったのですね(団塊世代の老後を追え、という話も現実味を帯びてきました)。 シニアビジネスは、あまりにも介護のビジネスのイメージが強いものですから、私は「シニアビジネス=介護ビジネス」と考えていました。でもこれは、シニアビジネスのほんの一部だったのです。このことをゴールド倶楽部を通じて知りました。しかし、世間はまだまだ介護ビジネスの認識のままです。事実、 「おれのところはお客さんがシニアじゃないから関係ない」 「あれは、介護保険をつかうからうちとは関係ない」 という発言をいまだによく耳にします。 ところがそんなことはありません。介護は五~一〇%、残りの九〇%ぐらいの人は元気(元気度の違いは大いにありますが、それは後述します)。 そこでわかったのが、シニアビジネスがあらゆる業種にまたがるということでした。ビジネスがそっくり、高齢化によってシフトした。つまり、あらゆる商売が、年齢がシニアにシフトしただけと考えますと、今やっているビジネスが全部シニアに移動するといっても過言ではありません。 言い換えますと、若者が年をとってそのまま移行したのが、シニアビジネスなので衣食住すべてがそっくり移動したことになります。二〇〇七年問題と言われる団塊の世代が定年を迎える以降は、それがますます加速します。レストランでも旅館でも、何でもシニアビジネスの対象になります。 これまでの商売をシニア層に特化して考えてみることこそ、成長の手がかりが見つかることになるのでしょう(拙著『営業利益2割の経営』日本経営合理化協会刊)。ここでも、これからの成長産業の柱にシニアビジネスを上げています。 でも、単純な移行(年齢シフト)ではないんですね。これが勉強するにつれてさらにわかってきたことです。シニアビジネスをひと言にすれば、「ホブソンズで買ったアイスクリームにトッピングをうんと入れる」ようなもの。アイスクリームが既存ビジネス、トッピングがそのシニア版。トッピング次第でおいしくなるのが、アイスクリームなのです。 「六〇歳からの起業」でも遅くはない ニュービジネス協議会という社団法人があります。そこからセミナーの案内が来たのですが、ズバリ題名が「六〇歳からの起業」でした。ニュービジネスも、もう若者だけの特権ではないんですね。 さて、私は三〇年間、会計事務所をやっておりますが、その中でつくづく思うのは、やはり世の中が豊かになったんでしょうか? さまざまな勉強はするのですが、学んだことをもとにすぐに実行に移す人があまりにも少ないのですね。 昔、松下村塾(しようかそんじゆく)で吉田松陰は、「単純な知識ではなく、行動を教えた」と言われています。それが幕末にあれだけの人材を出せた理由であると聞いたことがあります。アメリカでの成功者たちも、夢を手に入れたいなら「行動すること」だと言っています。 話が横道にそれますが、ITを含めた若いニュービジネスの成功者の共通項を調べてみたことがあります。すると、そのキーワードはやはり行動力。執念という人もいますけど、世の中で行動する人が減ってきたときに思い切って行動すれば、成功の確率が高くなるのではないでしょうか? ここで私が強調したいのは、これを機会にシニアビジネスを立ち上げて行動して欲しいということ。最近は行動しようという意欲そのものが鈍って来ていますが、このままでは日本の将来は危ないからです。 そこで本書にはどう行動すればうまくいくのか、随分と仮説を入れました。独断と偏見で書いていると解釈してもらって結構です。セブン&アイホールディング、CEOの鈴木敏文さんは、必ず仮説を立てることを習慣にしていると言います。私も昔はカンだけで考えていたのですが、それが外れることが多かったため、最近は数字もとりますし、データベースも考えます。まったくの見当違いを少なくするための工夫なのです。