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シニアビジネスは男がつくる | ||
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第2章 シニアビジネスを成功に導く12のポイント
人材派遣業にチャンスがある
シニアと絞って考えますと、「膨大な人材関連事業」があります。昔は金の卵と言いましたが、今は六〇歳以上の高齢者の労働力は「銀の卵」というのですね。 インターネットができたので、人材の斡旋形態が変わりました。私はゴールド倶楽部の事業の中で、高齢者の経理マンの人材派遣をやってみようと思っています。成功するかどうかわかりませんが、雇った側は若者の雇用に比較してコストかかりませんからね。 というのも、社内にいる若い人に経理をやらせることはないですよね。経理は毎日来ない人と契約を結べば、安い報酬でできます。週に二、三日来れる人を見つけられれば、きちんとした経理ができますから。 これからは、人出不足の時代が間違いなくきます。たとえば日本中の病院は、看護師不足です。本当に看護師がいません。ですから、これは銀の卵以上だと思います。 最近、やっとフィリピンから看護師たちに来てもらえるようになりました。でも日本はものすごく厳しい国で、すぐ看護師にしない。国家試験をやらなくてはならないのです。だから事実上は看護師不足の解消には程遠いのです。 ですから、積極的にシニア看護師を活用してもいい。もっとも知人のクリニックが看護師さんを募集したら、八〇歳の人が応募して来て参ったと言っていましたが。 今、介護の人は半分がボランティアですから、介護のヘルスケアの資格を取る人が一〇人いたとすると、実際の職につく人は労働条件が厳しいから一人しかいない。取っても一〇分の一なんです。多分、慢性的な人不足になることでしょう。 今や約一三五万人の就労者を抱える介護労働市場は離職者が相次ぎ、「3K」とも「6K」とも言われており、介護報酬やホームヘルパーの場合は利用者の意識改善など問題が多い(『週刊ダイアモンド』二〇〇四年七月三一号より)。 シニアの人材活用は、いろいろな方面で考えられます。シニアだけでいろんなコンサルタント集団を作った例もあります。パソナの子会社で、早期退職者の再就職支援を手がけるパソナキャリアアセットは、四〇~五〇歳代を中心にした求人情報ウェブサイトを立ち上げました。仕事の経験を積んだベテランの人材需要が拡大しているのを反映し、専用サイトを設けたのです(日本経済新聞二〇〇五年六月二三日より)。 最近ではドラッグストアでもコンビニでも、高齢者パートを使うようになりました。ですから、そういうもののあっせん事業をやっただけでも商売になる。あるいは定年退職した人の営業マンを雇う。これもえらく安くできます。 今は週休二日ですけど、あと一〇年もしたら実質、週休四日になりますから。 話は脱線しますが、オーストラリアは休みが多いですから、今後サッカーが強くなるのでは? オーストラリアは、金曜日の午後になると会社には、だれもいませんからね。日本の感覚で金曜日の夕方の五時ぐらいにメルボルンの会計事務所を訪ねていったら、嫌な顔をされました。渋々ながら私を応対してくれたのですが、職員はほとんどいませんでした。 考えてみれば、日本だって社員として社内で一日中、働いている人だって、いつも仕事ばかりをしているとは思えません。若い女性などは、インターネットで「土日どこに行こうかな」と調べものをしているかもしれない。程度の差はあれ、これに似たようなことは行なっているはずです。パソコンに向き合っていると、いかにも仕事をしているように思いますけど、多分そうです。月曜日は朝から仕事に集中しているかと言えば、土日に何をやって過ごしたかでみんなでわぁ~と盛り上がっているうちに一日が終わってしまうわけですね。 そうすると実質的に仕事をするのは、火、水、木しかない。その中できちんといっぱしの事業をして利益を出すとしたら、よほどの工夫が必要です。ハッピーマンデーと言いますが、経営者にとってはハッピーでも何でもないですね。月曜日から気持ちが入っていなければ、火曜日の朝礼では力が抜けます。 すると、実質週休四日です。そういうことになってきたら、こういうふうに時間に縛られなくてもいいけれど、パフォーマンスを上げるような人材と言ったらシニアしかいません。 「団塊のパワーもつかめ」と言いますけれど、こういう人たちが再び出てくれば、元気で仕事はしたいけれどフルでなくてはイヤ! という人たちがいっぱい増えてきます。 これをあっせんする事業をやっただけでも、私は商売になると思います。 1定年後も働きたい 六〇歳を過ぎても働きたいか? こんなふうに二五~四九歳の既婚男女に尋ねたところ、五三%が「働きたい」と答えたそうです。厚生労働省の高年齢者就業実態調査によると、二〇〇四年九月に仕事をして収入を得た人の割合は六〇~六四歳の男性で約六九%、約三二%が「年齢に関係なくいつまでも働きたい」と回答しました。女性でも約二七%にのぼったと言います(日本経済新聞二〇〇六年二月五日より)。 日本人の大半が定年退職後も働きたいという国際的な調査があります。私も六〇歳になって見ると、「おめでとう」などと言われても、気分的にはおもしろくも、おかしくもありません。生活自体はまったく変わるわけでもないんです。 ですから、このリサーチはさもありなんと体で納得します。アメリカはAARPという退職者の団体が政府に圧力をかけて、定年制を法律的に取っ払ってしまいました。日本でも六〇歳定年制がなくなりました。 メディアも「銀の卵」「シニアの匠」というぐらい、最近はシニアの人材活用を記事にするようになりました。 2シニアの人材の活用をどう考えていくか 大半が定年後もみんな働きたいと思っています。それも毎日でなくてもいい。できれば、朝九時には来たくないと考えています。 そのかわり年金をもらっていますから、別に常勤ほどお金はいりません。働きたいけど、毎日はイヤだというのが共通項です。私の同級生もサラリーマンを長いことやっていたから、勤務時間を拘束されたくないと言っています。 だけど、会社はそんなことを許してはくれません。大会社はもったいないことをしていると思いますね。六〇歳ぐらいで全部を切ってしまう。銀行などは五〇歳ぐらいですから、本当に早い。今までの仕事の経験をドブに捨てるようなものだと思いませんか。 視点を少し変えて、会社でジョブの分析をしてみてください。私が会計事務所をやっていて感じるのは、「何でこんな仕事を働き盛りにやらせなければならないのかな」というものが山ほどあるということです。仕事をしぼって依頼すればコストだけで五分の一に十分なります。 ジョブの分析をきちんとやってみると、定年退職した人たちも十分に働けます。 使用者側も「朝から来て顔を見ないと許さない」というカルチャーも変えなくてはいけません。呼ぶと「はい」といって来るということに管理職もなれていますからね。ところが、そうなると、シニアは使えない。週何日でもいいから、だから、時間で拘束しないでジョブで拘束していったらものすごくいい人材の戦力になります。「Wage sharing」と言うのですが、発想を変えればいいわけです。 社長業をしている人達に聞くと、朝来て「オ~イ!」と呼んだときに誰もいないと機嫌が悪いようなのです。でも、この発想を変えなくてはいけません。名前を呼んでも来る日もあるけれど来ない日もあると割り切ることです。ここのところがむずかしく、相当古いタイプになりますと、頭が堅いことが多い高齢者は使えないようです。 3シニアの人材ビジネス 「シニアの労働力」「年金兼業型労働」「ウェジシェアリング」「ワークシェアリング」「高齢社員優遇」「人材紹介ビジネス」。 これらは最近のメディアの記事を少しなぞっただけですぐ出てくる話です。最近、急激にシニア人材活用の記事が増えてきました。団塊定年になりますと、もっと増えると思います。働きたいという人たちを斡旋するビジネスや、働きたいという人たちを雇用するというビジネスは、実際、六〇歳以上しか使っていないという会社があります。 また、海外で定年を迎えた人が帰ってこないという例もあるそうなのですが、その人材を雇用する日本企業も出てきています。たとえばベトナムで仕事を辞めたというと、ほかの日系企業が進出するとき、そこに勤めたりします。日本から日本人を連れていって、現地でやらせると何千万円とかかりますが、これだと安く雇えるわけです。 なかなか上手いですね。私も海外勤務を終えて日本に帰ってきて、閑職についている人を見るにつけもったいないなと思います。 求人のマッチングも有望です。ハローワークがやっていますけれども、あれを民間がもっと丁寧にやれば、相当いい人材が集まってくることになります。 4シニア人材の活用は経験を買うこと シニアビジネスはソフトの話ですから、それをどうやって運用していくか。そうすると、逆に経験が知恵になるんですね。これはすごくばかにできなくて、アメリカは無形の固定資産というか、無形資産、インタンジブル・アセット(intangible asset)といってバランスシートに載っていませんが、これはすごい評価をしています。シニアの知恵はバカにできない時代が必ず来ます。そうなってくると、シニアの活躍の場は絶対にあります。 シニアの経験を生かしたシニアの人材教育も、キーワードになると私は思っています。 「後悔先に立たず」と言わないで、「後悔役に立たず」と間違えた人がいました。 ところが寿命が長くなりますと、後悔は役に立つのです。失敗は成功の母になります。敗者復活戦が簡単になりますから。定年後も働きたいというニーズがシニアに高い。それにこたえてやれるビジネスは、もっともこれから可能性の高いシニアビジネスではないでしょうか。