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シニアビジネスは男がつくる | ||
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第8章 さあ、「シニアビジネス」で一歩先に抜き出よう!
まずは地方で、シニアのニーズを拾おう
ついの住み家が便利な都心がいいというシルバーが増えています。買い物に便利で、病院も近くにある。さらに家自体に資産価値もあるからでしょう。 また、最近の傾向として「料理を習いたい」といって料理教室に通う六〇代以上の男性が急増しています。シニアの基本ニーズである「こだわり」「つながり」「役に立ちたい」を満たしてくれるためです。 ところで、私は今の日本はビジネスチャンスを逃していると思っています。たとえば年をとっても借りられる住宅ローンがあれば、借りてくれる人は増えてくるでしょう。老齢者用の住宅ローンは、どれも七〇歳になったら貸してくれませんけれど、そこを長期のローンをつけるとか、あるいはリバースモゲージとかすれば、さまざまなビジネスが訪れます。高齢化社会だからです。もし、関心があって人口減対策について勉強したいなら、その糸口としてフィンランドから学べばいいと思っています。 シルバービジネスを成功させるキーワードは、地方でスピードを上げることです。一年間で内山さんが一〇何カ所、老人ホームを作っていることから考えれば、やはりスピードがあることが成功の条件のようです。 私もずっと三〇年間、東京と地方を行ったり来たりしながら、主に中小企業を見ていましたが、本当にスピードがない。 そこで地方の戦略はどうしたらいいのかについて、説明しましょう。地域戦略には共通項があります。もうお亡くなりになりましたが、昔、田岡信夫さんが、「ランチェスター戦略」で一躍、有名になりました。内山さんを見ているとまったくこの考え方を実践しているのです。 東京はマーケットサイズが大きいので、なかなかむずかしいんですが、地域戦略はこれしかありません。商売をするときには、地域を絞るのです。 地域を絞ると、今度は商品が絞れます。ここまでは誰でも割とやるんです。ところが次の段階として必要となる商品を広げることをしないのです。商品が当たっている間に、その商品を広げていくことです。典型的な例で言うと、建設業なんです。 戦後日本の経済で、これだけ日本中のOECDで地方に交付金をばらまいて公共工事をやって、インフラを整備したところはありません。一〇年ぐらい前までは、みんな潤っていたんです。ちょっと差しさわりがあるかもしれませんが、ご了承いただいてあえて言います。 だけど、ここから商品を広げたという人は少ない。三〇年も同じ商品で収益を上げたら終わります。人間だってそうですものね。年をとってくると、社長は社員たちに「オレについてこい」と言えなくなるんです。体力や気力が衰えてくるからでしょう。それもあって、この言葉は最近は死語になっています。人間のライフサイクルと一緒で、ずっと上り調子でいくことはない。 だから、原理原則を守り、単品でずっと商売をやっていたら広げていかなくてはなりません。これをやっていなかったから、収益が落ちたのです。地域はこことここをやればいいので、簡単なんですね。シェアを上げて商品を絞り、商品がうまくいきますと、こういった知名度が上がります。 私の経験則で言いますと、業界の一番と二番では利益率が全然違うんです。お客さんはソニーだ、パナソニックだ、シャープだとメーカー名を指定して電化製品を買っていますけど、商売のやり方を工夫すればいいのです。 私は昔、三〇年以上前ですけど、ある大手電器メーカーの監査をしていましたが、出かけてみると、そこに○印のポットが置いてありました。今でいうOEMです。そのメーカーで作っていてもメーカーブランドで売らないわけです。メーカーには製品を作る技術力はあるのですから、あとはお客さん好みのブランドに変えて出せば、製品自体は支持されます。本当はメーカーとブランドがちがうのですが、「○印のポットは品質がいい。だからこのブランドでしか買わん」と言っていた人がずいぶんと買っていたようです。 商店で一番になってもいいんですね。もちろん、その地域で一番になるという自信があるなら、そんな大きいところからはじめてもいいでしょう。どちらにしても大半の人は何もやらない。一三〇人がいたら、そのうちの一人しかやらないということなんです。「ランチェスター戦略」理論の有効性は、何十年も前と変わっていないんですから、まずは行動してみることです。