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第7章 「一三〇人に一人」のやる気人間になれば成功できる!
頭でっかちになる前に行動せよ
ある人から商店街の活性化を手伝ったときの苦労話を聞きました。とても関心がある話だったので私は、さまざまな質問をぶつけてみました。 ひとつめが「最初に商店街に出かけたときに、どのようにして商店主のやる気を引き出すしかけをしましたか」、ということです。 と言いますのは、かれこれ二五年ほど前のことですが、私も商店街の指導した経験があるからです。 当時もすでに商店街の売上は郊外の大手のスーパーに食われていて、売上の回復が大きな問題でした。商店街の活性化は、各地の商工会議所でも、最大のテーマだったように記憶しています。そろそろ商店街にある店を二代目が継ぎはじめた時期でもありました。 二代目はお父さん(先代)より学歴があり、しかも、大手の会社のサラリーマンの経験があるというというのが特徴だったように思います。 ですから、二代目はいっぱしのマーケティングの勉強とか経営の知識は持っていました。理論好きで、ピータードラッカーまで読んでいる。 ところが、店の手伝いをしてみてわかったのは、肝心の店主が働かないし、動かないんです。 朝、店をオープンすると、従業員に店を任せてすぐ出かけて行く。何をしているかわからないのですが、夜、店が閉まるころ帰って来ます。 もちろん、私とのミーティングは、いっぱしの理論を振りかざす。その繰り返しでしたので、商店街の活性化は無理だなと思い、あきらめがいい私は、さっさとやめました。 その後、その商店街は全部シャッター通りになってしまいました。その経験が刷り込みになっていましたので、全国至るところ、商店街は同じ状態だろう。商店街の再活性化は、未来永劫、無理だろうと思っていました。 ところがこの人は違うというのです。そこで、最初に商店街に入り込むために、糸口はどうしたのか、とても興味を抱いたのです。商店主に心を開いてもらうために「とりあえず話だけさせてくれ」と言って、商店街の総会で話す機会をもらうことからはじめたそうです。「セミナーをやるよ」と言っても絶対にきません。でも総会だと必ず商店街の人たちが集まりますので、この日を選んだのだと言います。 そこで「趣旨に賛同者は何人いましたか」といういじわるな質問をしてみました。 その商店街には一三〇店舗がありますが、賛同してすぐやりたいといったのはたった一人だったそうです。 「その人の年齢はいくつですか」と聞いたら、六〇歳以上の商店主だったそうです。その人がたった一人だけ賛同したのです(やる気のある人も高齢化が進んでいる)。 極端を言いますと、一三〇分の一しかやる気がある人はいないというのが、日本の現状なのです。 ところが、その方の努力と企画力で、三年経過してイベントをやりますと、五〇店舗は参加するようになった。毎日、努力をして活動をかけていきやっとです。そのぐらい商店街の活性化は、大変だというのです。 たまたま、商店街の例を出しました。でもこれは、メーカーでも、あらゆる業種に程度の差はあれ、当てはまる現象ではないか。私はさまざまな中小企業を三〇年以上も見てきました。そのぐらい、やる気のある人が少ない時代になりました。 繰り返します。やる気のある人は一三〇人に一人しかいないのです。一三〇分の一の確率ということは、競争相手は〇・一%もいない。 見方を変えますと、「頑張れば勝てる」のです。