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シニアビジネスは男がつくる | ||
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第6章 シニアが商店街に戻ってくる!
商店街は個別対応を武器にせよ
シニアが街中に住みはじめています。東京では極端になっていて、都心部への回帰が起こっています。地方でも便利なところに住みたいという高齢者のニーズが、これから相当あるのではないでしょうか。 そう考えてみますと、私が少年時代に田舎で羽ぶりのよかった電気店が何をやっていたかというと、オーブンを売るために料理教室などを開催していたのを思い出します(電子レンジがまだなかったのです)。 そういうことをもう一度やれば、電気屋さんもレンジやオーブンは売れるのではないかと思っています。それなのに、なぜかみんながやらない。レンジを売らなければならない商人も豊かになったのですね。まさに歌を忘れたカナリアです。 さて、「商店街は再活性する」という仮説をたてました。「商店街の未来は意外に明るいぞ」という話です。 たとえば東京下町、江東区の砂町銀座商店街を訪れるお客さんの約六~七割が高齢者層。周辺にはダイエーやジャスコ、イトーヨーカ堂をはじめ、大規模な総合スーパーが乱立している。しかし、お年寄りが自転車に乗って巨大スーパーで大量の買物をするのが、体力的に辛くなってきた。それにスーパーの惣菜などは作り手の顔が見えないし、会話もない。 その点、商店街に来れば店の人と気軽に会話ができるし、手作りの惣菜が食べたいだけ少量でも手に入る。 また、福岡県博多の上川端商店街は、一九九六年に商店街近くに、大型ショッピングセンター「キャナルシティ」(http://www.canalcity.co.jp/home.html)がオープンし、当初は太刀打ちできませんでした。しかし、商店街周辺に多く住む老人たちに目をつけて病院、針灸整骨院、エステなどを集めた五階建ての「健美工房」(http://www.iscat.co.jp/)を二〇〇二年に商店街に開設。高齢者たちが朝早くから集まり、高齢者のサロンとなり、帰りには商店街で買物をするようになったと言います。 郊外に大型の複合商業施設を作り、周辺の広い商圏から車に乗ってやってくる多くのお客さんを集めるビジネスモデルの歯車が、少しずつ狂いはじめています。これは当たり前で、大きなショッピングセンターは歩くと疲れますものね。元気なうちは車に乗って、郊外の大型店に買物に行くが、やはり年をとれば身近なところに行くようになってきます。 富裕層向けの会社がありまして、銀行系の会社で講演を頼まれて行ってきました。そこではお客さんが来るためのエレベーターの中に椅子を置いてあるんです。 シニアは若い人みたいに遠くに行って、歩いたりはしません。やはり近場で買ったりする。そうすると、配達もしてくれて生活は便利になります。ただひとつだけ注意というか、感想ですが、商店街のほうではそういう認識がないんです。ニーズがあるにもかかわらず、相変わらず昔どおりの商売をやっている。 いつも思うのですが、なぜ酒屋さんは配達をやめたのでしょうか。なぜ、酒しか売らないのだろうか。一番もうからないビールを持って歩いているでしょう。もう少しもうかるものを一緒に持って行って売ったらいいんじゃないかといつも思っています。配達というキーワードでは、何も酒だけを売らなくてもいいではないか。 やっぱり昔の商店主は偉かったなと思います。私が小学校ぐらいのとき、ナショナルショップなどの電器店は料理教室をやってハードじゃなくてソフトで売っていたんですね。最近は何もしないから、大多数の商店街はもうダメになっています。シャッター通りと言われてから久しい。 それなら大手のスーパーがいいかといいますとそうでもない。イオングループなどは、「うちはタヌキの出るところしかショッピングセンターを作らない」と豪語していましたが、あれだけ作っても、GMS(総合スーパー)全体の売り上げは年々減っています(http://www.aeon.info/)。 GMSの店舗面積は年々増えているにもかかわらず、商業統計によると販売額は一九九一年以降はほぼ八・五兆円程度で横ばい。やはりGMSは時代にもう合わなくなってきているのです。ですから、商店街の活性化は、シニアビジネスの大きなキーワードになるだろうと思います。 年を取りますと、便利で病院がすぐそばにある、歩かないなどがキーワードです。すると近場になります。ますます商店街は成長産業になります。