cover | ||
シニアビジネスは男がつくる | ||
contents | お買い求めはコチラ |
第4章 世界最大「AARP」はなぜ成功したのか?
「ボランティアビジネス」を前提に考えよう
シニアビジネスの特徴は、やはりボランティアビジネスです。二一世紀はボランティア経済ですから、正社員を抱えて頑張ろうというところは、やはりコストが合わない。ですから先ほど述べたように、できるだけ定年後の人たちをうまく使うとか、NPOと組んで、ボランティアのビジネスでやらないと、どうしてもコストが上がっていきません。 クラブツーリズムという、近畿日本ツーリストからMBOをして分かれた会社があります(クラブツーリズム株式会社http://www.club-t.com/)。すごく有名な会社なのですが、お客さんはシニア層が多いのが特徴です。どういうことをやっているかというと、これもボランティアビジネスなんです。 海外旅行をしてみるとわかると思うんですが、最初はおどおどして出かけませんか。しかし、二回目からは添乗員が邪魔になるぐらい、すぐに精通します。旅行はすぐにお客さんの学習効果が現れます。 逆に言いますと、旅行業は次回からお金が取れないビジネスなので儲からない。クラブツーリズムは、行った人を先生にするようなビジネスにしているわけです。それで、どんどん指導員を作っていくというか、コンダクターを作っていくビジネスなのです。あとは、黙っていても続けていけばビジネスになります。 品川中延の街のコンシェルジェも、福祉長屋も同じ発想です。二一世紀のビジネスは、ボランティア経済といった人がいます。シニアビジネスはまさにそれにピッタリ。この部分を等閑視しますと、このビジネスはなりたたない。 ですから、シニアビジネスの鍵はどうNPOをかませるかが、とても大事になります。何回も言っていますが、シニアビジネスは非常に手間暇かかるビジネスです。まともにコストをはじくと儲かりません。ですから、コスト面でもボランティアをかませないと成り立たないわけです。 一方、NPO側として、当初はボランティア団体で純血主義を守って、企業なんかとは組まないでやっていたのですが、介護保険を機に福祉のボランティアもお金のことを考えずにはいられなくなりました。NPOを作っても、給料はボランティアでいいけれど、事務所の経費やお茶代、交通費もかかります。 NPOだって稼がなければならないという現実的な、事情があります。ですから企業側とNPOはニーズが一致します。 NPO側にもある程度ベースになるNPO事業が必要になります。一部のNPOは事業に成功したケースもあります。介護保険をきっかけに、ボランティアにしては、ものすごいお金が降ってくるので、東京ではいわゆる年商でいうと四億円、五億円くらいのNPOがあります。中には一億円以上が、いくつか出てくるようになってきました。 一億円になるとさすがにお金の問題、事業の問題、契約の問題、普通の営利企業が頭を悩まします。こういう普通の問題に対処せざるを得なくなる。 すると、NPOもだんだん体質が変わってきて、現実的な対応を考えるようになります。一方、企業側もNPOとのコラボレーションはメリットがあります。なにしろコストが安くできますし、企業イメージの向上には大変役に立ちます。ここかしこで非営利団体、NPOと営利企業のコラボレーションがはじまってきます。