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第2章 シニアビジネスを成功に導く12のポイント

困っているシニアのお助けマンになろう

 シニア層を相手にしたビジネスを成功に導くには、NPOなどと組まなくてはいけないケースも多く、非常に手間がかかります。軌道に乗るまでに、ある程度の時間がかかるため、途中で投げだしたくもなりますが、そこは我慢も必要。  こんなときは「無欲は大欲」ということわざを思い出してはどうでしょう。成功したら、独占的な地位が築けるマーケットなのですから、取り組む価値は十分にあります。  では、どんなビジネスが有望なのでしょう。  私が知る限りでは、シニアビジネスで大きく成長しているのは、一見、何屋さんなのかわからないところがリードしてきています。というのは、最近のビジネスの傾向として業種の垣根がなくなっているからでしょう。特にシニアビジネスが、その傾向が強い。  これからシニアのお客さんの気持ちをひきつけたいなら、業種(肉屋、洋服屋、本屋というように売るもので分ける考え方)で考えるよりも、業態(スーパーマーケット、専門店など売り方で分けた考え方)で対応するほうがいいようです。  人は年をとってくると、だんだんと出不精にもなり、あちこち出かるのがおっくうになりがち。買い物はできれば一カ所で衣・食・住に関連するものすべてを揃えられたほうが便利だと感じるようになるからです。  こう考えればシニアには、便利屋さんのようにどんなニーズにも対応できる形態がもっとも合っていることがわかってくるのですね。  街のコンシェルジェは、そんなサービスを提供してくれます。便利なことからシニアに人気があるのですが、コンシェルジュに「家の電球が切れたので交換して欲しい」という依頼が飛び込んでくることがあります。  こんな依頼にも足を運ぶのですが、話を聞いてびっくりしたのは、コンシェルジュが一軒のお宅に伺ってから帰るまでの時間を約一時間ほど見積もっておくということ。電球を交換するだけですから、実際に仕事にかかる所要時間は五分ほどです。残りの五五分は何をしているのかといえば、依頼者との世間話に花が咲くと言います。  依頼者は電球の交換を依頼してくるのと同時に、口にはしないものの話し相手も探しているからだとか。担当者が家を訪ねてくれると、大歓迎をしてお茶まで出してくれる。そして腰をすえて、近所のうわさ話からはじまり、身の上話までいろいろと話をしはじめるのです。こうして会話を楽しむことで、ひとり暮らしの寂しさを紛らわしているのですね。  こう考えればシニアビジネスは、壊れたものを修理するとか、取り替えることに焦点を当てるソリューション(解決)ビジネスであると、拡大解釈したほうがむしろ大きな商売になります。このケースで言えば、シニア層の孤独を解決することがお金になっているように思います。  アメリカには、すでにシニアの話し相手をするだけで報酬をもらうビジネスが実際にあるといいます。発案者は以前にシニア宅を訪問したときに、お年寄りが話し相手を欲しがっていることを痛感し、ここにビジネスチャンスがあると気づき、スタートしたそうなのです。  今のところ日本人は、話し相手をしてくれただけの人にお金を支払うことに対して、まだまだ抵抗感があるようです。国民性でもあるのでしょうが、いずれはアメリカ同様にこんなビジネスも生まれてくる可能性は高いと思います。  ところで現在、東京に住むシニアのほとんどが、地方出身者です。一〇代後半で上京してきてから、がむしゃらになって働くことで入ってきたお金で夢のマイホームも建てました。結婚もし、息子も誕生。手がかかっていた子どもも、いつのまにか成長して独立。息子も結婚をし、孫も生まれました。こんなふうにみんなが幸せだったものの、ある日、伴侶に先立たれます。  突然、ひとりぼっちになったわけですが、だからといって、息子と同居するわけにもいきません。結局はそのままひとりで暮らしているシニアは、結構いるものです。  彼らの目下の心配ごとは、自分のお墓のことだと言います。 「息子は転勤族だし、自分の家庭のことで手一杯。もし、自分が死んだあとに墓を作っても、墓参りにくるはずがない。それだったらいっそのこと散骨にしてもらったほうが幸せ」という相談を持ってくる人がいると言います。そうすると、「自分が死んだあとのことは、葬儀屋に頼めばどうにかなる」という今までと同じ考え方ではうまくいかなくなるわけですね。  こんなふうに意識が変わってきています。  葬儀やお墓問題も重要ですが、その前にもっと大事なことがあって、自分があの世にいったあとに、住んでいる家の処分をどうするか、これが大きな問題になっています。ここでリバース・モーゲージ(持家を担保に融資を受けるシステム)の話題が出てきます。  リバース・モーゲージは一定の資産以上でなければ、信託銀行は扱ってくれません。しかし、実際はそのレベルまでいっていない人が多いのが実態でしょう。  家を処分したいとのニーズはあっても、その相談に乗ってくれる人がいないことになるのです。  でも、ここにはすごい潜在需要がある。この課題を解決できれば、人数が多いだけにビジネスのビックチャンスになります。非常に手間暇はかかりますけど、ものすごく巨大なマーケットが日本全国にあるわけなのですね。

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