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シニアビジネスは男がつくる | ||
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第7章 「一三〇人に一人」のやる気人間になれば成功できる!
小さくてもオヤジの商売を継ぐのが勝ち!
もうひとつは一〇分の一です。「その商店街で、跡継ぎがある人、商売を継いでくれる人がいる店はどのくらいですか」と、尋ねましたら一割だと教えてくれました。 私のカンとほぼ合います。(統計上は171頁のようになりますが、私の実感としては、この数値はもっと低くなるのではないか)。 事業承継というと、まずは株式の対策とか相続の対策や税金の話をします。でも、その前に継ぐ人を見つけることが第一なのです。その跡継ぎが一〇人に一人しかいないというのは、一〇社のうち九社が近い将来、商売をやめなければならないことになります。 それに案外、息子に継がせようというのは少ない。ですから、私は常々、事業承継の相談を受けると、何が何でもともかく息子さんに継がせるようにと言っています。首に縄をつけてもいいから引っ張って来て、ともかく継がせる。ところが、往々にしておやじが立派だと息子に厳しい。親子の対立をするケースも結構多いんですけれども、せっかく連れて来ても逃げていくわけです。 それもつまらない理由でケンカをしたりする。だけど私ははじめは跡継ぎが、会社の出勤に遅刻したり、会社に出てこなくても我慢していいから、ともかく継がせたら勝ちだと言っています。もちろん、娘さんのお婿さんでもいいんです。 私の経験では会社に入社したころは、少し頼りなさそうに見えますが、だんだん息子さんの顔が締まってくるんです。やはり、それなりにさまになってきます。しっかりしてくるんです。しかも、血というものは、とても濃いもので、モラルも高い。 私はここで経営学に書いている本と反対のことを言っているわけですね。みんな経営学というと、息子は能力がないと継がせられないと言います。 日本の経営学というのはおかしくて、大会社の事業承継と同族会社の事業承継を混同しています。それなりに従業員がいる規模の会社は別ですが、同族会社のほとんどはやはり、息子さんに跡を継がせたほうがいい。人材と言いますが、同族を抜きにして中小企業で人材が集まるのでしょうか。 最近は息子さんがいても、みんなサラリーマンになってしまいました。繰り返しますが、一〇分の一ということは将来、それもあと一〇年もしたら九割の店が跡継ぎがなければ、店を閉めなければならない。 逆に考えてください。近い将来競争率が一〇分の一になるということです。同業者がやめていきます。やめていった場合には、通常は営業を買ったり、営業をとったりすれば営業権をお金を出して買わなければならない。 でも、ライバルが勝手に辞めるわけですから、のれん代なし、お客さんもコストゼロでもらえます。 現場で長いこと私は、事業承継を随分と見てきました。事業承継は私の専門の業務ですから、既存のお客さんから新規のお客さんまで、事業承継の仕事を随分と頼まれて見ています。その体験から言いましても、継げば十分に勝機があります。 今はちょっと村上ファンドの村上世彰さんの事件やライブドアの堀江貴文さんの件でガタガタした六本木ヒルズ族ですが、その中にも起業家はたくさんいます。成功した若い人が大勢います。多分、六本木ヒルズ族に限らず、地方でも何人かそういう方が出てきます。 私はヒルズ族で実際に会った人もありますし、書物で知り得た人もありますけど、成功者の共通項があります。それは実行力です。人よりはるかに動いている、これが成功の一番の要因ではないかと思っています。 一〇分の一がふたつめのキーワードです。逆から見ると「やる気があって跡継ぎをやる」ということになったら、かなりの成功の確率があります。 ナショナルショップの復活を書きましたが(165頁参照)、電気屋の復活です。ところが、その中で、スーパープロショップといって、量販店に対抗し得る専門店の認定を受けた店が、五、四〇〇店舗あるそうです。全国のナショナルショップ一万八、〇〇〇店のうちの五、四〇〇店舗です。 あとの一万三、〇〇〇店舗は、後継者難などの理由で、逆に廃業の恐れがあると言います。 しかも、その平均年齢は五八歳(「日経ビジネス」二〇〇六年七月三一日より)。 あとそのまま一〇年経ったことを想像してみてください。みんなマーケットの消費者しか考えませんが、商売をやる人がいなくなる時代もありうるということです。真剣に移民を考えなければ、そうなりますよね。 ですから、逆に起業すれば成功の確率がすごく高い。シニアビジネスは、起業のチャンスです。マーケットが成長しますし、後継者がいません。言い換えると、若者がシニアビジネスを作ります。